ささくれ
大好きな音楽の中に、中島みゆきさんの曲がある。
落ち込んだとき、元気を分けてほしいとき、眠れない夜。
どんなときも、中島みゆきさんの曲を聴くことが圧倒的に多い。
昨日は、ずっと『糸』を聴いていた。
“なぜ 生きてゆくのかを
迷った日の跡の ささくれ”
血まみれの指の、無数のささくれを見つめながらぼんやりこの曲を聴く。
わたしには、「自傷性皮膚症」の傾向がある。気分が落ち着かないとき、不安になったとき、心臓がばくばくしそうになる恐怖と戦うとき。無意識的に手は指のささくれを剥いていて、気がついたら血が滲んでいる。じわじわ滲んでいく血を見ると、少しだけ頭が冷静になれるし、すっきりする気がする。
おかげで、指は年がら年中ボロボロだ。酷いときは、唇の皮を剥くときもある。唇は鏡を見ないとわからないから、自分の目で見られる指のささくれを剥くことの方が精神安定剤として、わたしには必要な行為だ。
以前は人から見えないところを切りつける行為をしていたのだけれど、家で1人のときにしか出来ないし、道具も必要だし、わたしにとってはそんなに快感や「生きている」という感覚も得ることが出来なくてやめた。
今も、ささくれから溢れる血を見れば「生きてる」って安心感が得られる訳ではないのだけれど、電車に乗っている間の落ち着かないモヤモヤや身体の震えを自覚しないようにするのには、けっこう効果があるような気がする。わからないけれど。
もう、感覚が麻痺していて、気がついたらささくれを剥くのに夢中になっていたりするから、一種の癖みたいなものになってしまっている。
決して褒められた行為ではないことはわかっている。でも、それで少しでも心が安定するなら、少しでも穏やかな気持ちになれるのなら、こんなの痛くもない代償だと思っている。